「もし自分が入院することになったら、子どもはどうなるんだろう」——頼れる家族が近くにいないひとり親にとって、これは切実な不安です。実は、親が病気で入院するときに、子どもを預けられる公的な仕組みがあります。知っているだけで、いざというときの心の余裕が違ってきます。
まず全体像 ―― 入院で困る3つのこと
入院で困りごとは大きく3つに分かれます。それぞれに、頼れる先があります。
| 困りごと | 使える仕組み(例) | 相談先 |
|---|---|---|
| 子どもの預け先 | 子育て短期支援事業(ショートステイ)/ひとり親家庭等日常生活支援事業/ファミサポ | 市区町村の子ども・子育て担当課 |
| 入院費用 | ひとり親家庭等医療費助成/高額療養費/医療保険 | 市区町村の窓口・加入している健康保険 |
| 仕事・収入 | 傷病手当金(会社員などが対象)/会社の休暇制度 | 勤務先・加入している健康保険 |
子どもの預け先 ①子育て短期支援事業(ショートステイ)
保護者が病気などで、一時的に家庭で子どもを育てられなくなったときに、児童養護施設などで子どもを預かってもらえる制度です。こども家庭庁の案内でも、「保護者の疾病その他の理由」が対象として示されています。入院はまさにこれに当たる場面です。
夜間まで預かるショートステイのほか、夜だけ預かるトワイライトステイを実施している自治体もあります。ただし、利用できる期間・費用・申し込み方法は自治体ごとに違います。入院が決まったら、早めに市区町村の担当課へ確認してください。
子どもの預け先 ②ひとり親家庭等日常生活支援事業
病気や修学などで、一時的に生活の支援が必要なひとり親家庭に、家庭生活支援員が来てくれる制度です。こども家庭庁の案内では、次のような支援が挙げられています。
- 乳幼児の保育
- 子どもの生活・食事の世話
- 住まいの掃除
- 身の回りの世話
- 生活必需品の買い物
- 医療機関などとの連絡
国の資料では、一時的に支援が必要になる理由として「疾病、出産、看護、事故」などが挙げられています。支援の形は2つあり、支援員が自宅に来て家事や身の回りの世話をする(生活援助)ほか、支援員の自宅や児童館などで子どもをみてもらう(保育等)ことができます。離婚前から支援が必要な方も対象に含まれています。
ただし、この事業も実施しているかどうかや、利用条件は自治体によって違います。お住まいの窓口に「ひとり親家庭の日常生活支援を使えますか」と聞いてみましょう。
入院が決まったら ―― 動く順番
- 主治医に、入院の期間の見込みを確認する
- 市区町村の子ども担当課に連絡し、ショートステイ・生活支援員の利用を相談する
- 保育園・学校に、入院の予定と預け先を伝える
- 親族・友人・ファミサポなど、頼れる先にも声をかける
- 勤務先に、休む期間と手続き(傷病手当金など)を確認する
急な入院で時間がないときは、まず「子どもの預け先」だけでも先に決めてしまうと、気持ちがぐっと楽になります。病児保育とファミサポの記事も、預け先探しの参考になります。
入院費用の不安 ―― 使える仕組み
入院にはお金がかかるイメージがありますが、公的な仕組みがいくつかあります。
- ひとり親家庭等医療費助成:医療費の自己負担分を助成する制度です。所得制限があり、内容は自治体で異なります。入院時の食事代が対象外の自治体もあるので、窓口で確認しておくと安心です(ひとり親家庭の医療費助成の記事)
- 高額療養費:公的医療保険の共通の仕組みで、1か月の自己負担が一定額を超えたときに、超えた分が戻る(または窓口負担が抑えられる)制度です。限度額は年齢や所得で変わるため、加入している健康保険に確認してください
- 傷病手当金:会社員・公務員などが加入する健康保険で、病気やけがで仕事を休み給与が出ないときに支給される制度です。国民健康保険には、原則としてありません
民間の医療保険が本当に必要かどうかは、公的な保障と比べて考えるのがおすすめです。医療保険は必要?シングルマザーの見極め方で整理しています。
子どもが入院するとき
反対に、子どもが入院する場合もあります。付き添いのために仕事を休む場面が出てきます。
- 子の看護等休暇:子どもの病気やけがの世話に使える休暇です(対象年齢・日数は会社の制度や法律で決まっています。詳しくはこちらの記事の表も参考にしてください)
- 子ども医療費助成:自治体が子どもの医療費を助成する制度です。ひとり親はさらに手厚い場合があります(子ども医療費助成の記事)
付き添いのルールや、入院中の食事・寝具の扱いは病院ごとに違うので、入院が決まったら病棟の看護師さんに確認してみてください。
今のうちにできる備え
- 預け先の候補を2〜3か所、リストにしておく(親族・友人・ファミサポ・ショートステイ)
- ショートステイなどの利用条件を、元気なうちに窓口で聞いておく
- 子どもの情報メモを作っておく(かかりつけ医・アレルギー・学校の連絡先)
- 健康保険証・医療証・お薬手帳の場所を決めておく
「もしも」への備えは、遺族年金とエンディングノートの記事でも紹介しています。あわせて読んでみてください。
よくある質問
親族が遠くにいなくても、子どもを預けられますか?
はい。ショートステイなど、親族がいなくても使える公的な仕組みがあります。ただし実施状況は自治体によって違うため、市区町村の窓口に確認してください。
ショートステイの費用は無料ですか?
費用は自治体によって違います。ひとり親家庭や、所得の状況によって減額される場合もあるため、窓口で確認してみましょう。
入院中の子どもの食事はどうなりますか?
利用する施設や制度によって異なります。預かってもらう施設で食事が提供されるのが一般的ですが、詳細は申し込み時に確認してください。
自分の入院の間、仕事はどうすれば?
勤務先に休む期間を早めに伝え、会社の休暇制度や、加入している健康保険の傷病手当金(会社員などが対象)を確認してください。
まとめ:一人で抱えず、先に聞いておこう
親の入院は、ひとり親にとって大きな不安です。でも、子どもを預けられる仕組みも、お金を支える仕組みもあります。「知っている」だけで、いざというときに動ける力になります。まずは、お住まいの市区町村の窓口で「もしものときの預け先」を一度聞いておいてください。
参考・出典
- こども家庭庁「子育て短期支援事業について」「ひとり親家庭等日常生活支援事業について」、こども家庭庁「ひとり親家庭等の支援について(令和8年4月)」
- ※ 本記事は2026年9月時点の一般的な情報です。制度の有無・内容・費用は自治体や加入先によって異なります。具体的な手続きは、お住まいの市区町村や加入している健康保険にご確認ください。
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この記事を書いた人:masako
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