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離婚の手続きに追われて、「年金のことは、あとで考えよう」と思っていませんか。
実は、婚姻中に相手が払っていた厚生年金の記録は、離婚のときに分けてもらうことができます。これが「年金分割」です。ところが、請求しなければ、分けてもらえません。しかも、請求には期限があります。
この記事では、日本年金機構と法務省の公式資料をもとに、年金分割の仕組み・期限・手続きを、順番にまとめました。2026年4月から期限が変わったので、その点も正確にお伝えします。
💡 この記事の結論
- 年金分割は、婚姻期間中の厚生年金の記録を分けて、自分の年金にできる制度
- 請求期限は、離婚等の翌日から5年(令和8年3月31日以前に離婚した場合は2年)
- 相手の合意が必要な「合意分割」と、合意が要らない「3号分割」がある
- 情報通知書をもらっただけでは、分割されない。年金事務所に請求書を出して、はじめて分かれる
- 分けられるのは厚生年金の部分だけ。国民年金(老齢基礎年金)には影響しない
🔎 日本年金機構・法務省の公表資料をもとにまとめています。
年金分割とは?|離婚したら、厚生年金を分け合える制度
年金分割とは、離婚したときに、婚姻期間中の厚生年金の記録(保険料の納付実績)を、二人で分け合う制度です。分けた記録は、それぞれの「自分の年金」として、将来の老齢厚生年金の計算に使われます。
たとえば、結婚している間、夫が会社員で厚生年金に入り、妻は専業主婦やパートで夫の扶養に入っていたとします。この場合、夫の厚生年金の記録には「二人で築いた分」も含まれています。離婚のとき、その記録の一部を妻の記録に移すのが、年金分割です。
✅ 押さえておきたい3つのこと
- 分けるのは「お金」ではなく「年金の記録」。将来の年金額に反映される
- 対象は厚生年金の部分(報酬比例部分)。国民年金の老齢基礎年金には影響しない
- 相手が自営業などで厚生年金に入っていなかった期間は、分ける記録がない
「離婚した相手の年金を、毎月もらえるようになる」のではありません。将来、自分が年金を受け取る年齢になったとき、自分の年金額が増える形です。今すぐ現金が入るわけではないからこそ、後回しになりやすい手続きです。
まず大事な期限|離婚した時期で、5年か2年か
年金分割には、請求できる期限があります。2026年4月に制度が変わり、離婚した時期によって、期限が違うようになりました。
| 離婚等をした日 | 請求できる期限 |
|---|---|
| 令和8年(2026年) 4月1日以降 |
離婚等をした日の翌日から5年以内 |
| 令和8年3月31日以前 | 離婚等をした日の翌日から2年以内 |
※ 日本年金機構「離婚時の年金分割の請求期限が改正されました」より。民法で、離婚時の財産分与を請求できる期間が2年から5年に延びたことにあわせた変更です。
⚠️ 期限には、特例もあります
- 期限内に、審判・調停などの手続きが始まっていた場合は、確定・成立の翌日から6か月以内に請求できます
- 按分割合(分ける割合)を決めたあと、手続きの前に相手が亡くなった場合は、死亡した日から1か月以内に請求できます
ただし、特例に当てはまるかどうかは、個別の事情で決まります。迷ったら、期限が来る前に、年金事務所へ相談してください。
なお、財産分与の請求期限も、同じ時期に変わりました。離婚から5年(令和8年3月31日以前に離婚した場合は2年)です。離婚全体の手続きの進め方は、離婚の手続きはどう進める?決める5つのこと【2026年】にまとめています。
【🌿 masakoより】年金分割について
🌿 masako より
年金分割の手続きは、離婚の際にきちんと済ませました。将来の年金受取額に直接関わる手続きなので、「やっておいてよかった」と感じています。離婚後の手続きは多くて忙しい時期ですが、これだけは後回しにしないことをおすすめします。期限は、離婚から5年以内です(令和8年3月31日以前の離婚は2年以内)。
離婚は人生の大きな出来事です。だからこそ、一つひとつの手続きを事前にしっかり調べてから行動することが大切だと感じました。「知ってから動く」習慣が、後悔のない選択に繋がります。
実際に手続きをするときは、年金事務所で直接相談するのがおすすめです。事前に必要書類を確認してから持参すると、窓口でのやり取りがスムーズに進みます。
年金分割の2種類|合意分割と3号分割
年金分割には、「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。どちらを使うかは、結婚していた間の働き方で変わります。
| 合意分割 | 3号分割 | |
|---|---|---|
| 対象期間 | 平成19年(2007年)4月1日以降に離婚した場合。婚姻期間中の厚生年金の記録 | 平成20年(2008年)4月1日以降の、第3号被保険者(扶養)だった期間の相手の厚生年金の記録 |
| 割合 | 二人の合意、または裁判所が決める。上限は50% | 2分の1ずつ(自動的に決まる) |
| 相手の合意 | 必要(合意できないときは裁判所の手続き) | 不要。一人で請求できる |
3号分割が使えるのは、結婚していた間に、相手の扶養に入っていた(国民年金の第3号被保険者だった)人です。専業主婦やパートで扶養の範囲内で働いていた期間が、これに当たります。相手が話し合いに応じてくれなくても、一人で請求できるのが大きな特徴です。
合意分割は、婚姻期間全体の厚生年金の記録が対象で、二人の記録を合計して、分ける割合を決めます。あなた自身も会社員で厚生年金に入っていた場合は、こちらを使います。割合は、まず二人で話し合って決めます。まとまらないときは、家庭裁判所の調停や審判で決めることもできます。
💡 二つは、同時に使われます
合意分割を請求すると、婚姻期間の中に3号分割の対象になる期間が含まれている場合は、3号分割も同時に請求したものとして扱われます。別々に手続きをする必要はありません。
なお、3号分割には例外があります。分ける側(相手)が障害厚生年金を受けていて、その年金額の計算に、分割の対象になる期間が使われている場合は、3号分割は認められません。当てはまりそうなときは、年金事務所に確認してください。
年金分割の手続きの流れ|4つのステップ
年金分割の手続きは、年金事務所で行います。合意分割の場合の、基本の流れは次のとおりです。
年金事務所で「年金分割のための情報提供請求書」を出すと、分割の対象になる期間や、割合の範囲が書かれた「情報通知書」がもらえます。離婚の前でも後でも、一人でも請求できます。
二人で話し合って、割合(上限50%)を決めます。決まったら、公正証書や、年金分割の合意書にします。まとまらないときは、家庭裁判所の調停や審判で決めます。
「標準報酬改定請求書」に、必要書類を添えて、年金事務所に提出します。期限内に出すことが大切です。
請求が認められると、分割後の記録が、それぞれの年金記録に反映されます。すでに老齢厚生年金を受けている場合は、請求した月の翌月分から年金額が変わります。
⚠️ いちばん多い勘違い
情報通知書をもらっただけでは、年金は分割されません。通知書は、割合を決めるための「材料」です。割合を決めたあと、標準報酬改定請求書を年金事務所に出して、はじめて分割されます。通知書だけで安心して、期限が過ぎてしまうことがないようにしてください。
3号分割だけを請求する場合は、相手との合意や、割合を決めるステップは要りません。上の手順のうち、「標準報酬改定請求書」を出すところが中心になります。
必要書類のチェックリスト
窓口で慌てないよう、あらかじめ書類をそろえておきましょう。主なものは次のとおりです。
📋 年金分割の請求に必要な主な書類
- 基礎年金番号、またはマイナンバーが分かる書類
- 婚姻期間が分かる戸籍謄本または抄本(請求日から6か月以内に交付され、婚姻日と離婚日が確認できるもの)
- 二人が生きていることを証明する書類(請求日前1か月以内に交付された戸籍謄本・抄本、または住民票。請求書にマイナンバーを書けば、省略できる場合があります)
- 【合意分割のみ】分ける割合を証明する書類:公正証書の謄本・抄本、公証人の認証を受けた書類、年金分割の合意書(二人で年金事務所へ持参)。裁判で決めた場合は、審判書や調停調書など
なお、電子公正証書は、公証役場で出力・交付されたものに限られます。自分で印刷したものは、添付書類として認められません。必要書類は、ケースによって変わることがあるため、最新の情報は年金事務所で確認してください。
年金分割で、いつから、どれくらい増える?
分割された記録は、将来の老齢厚生年金の計算に使われます。ただし、年金を受け取るには、受給資格期間や、支給開始年齢などの条件を満たす必要があります。分割したからといって、今すぐ年金が出るわけではありません。
増える金額は、婚姻期間の長さや、お互いの給与の差、分ける割合によって、人それぞれです。目安を知りたいときは、年金事務所で情報通知書を取り寄せましょう。分割の対象になる期間や、割合の範囲が分かります。金額の見込みも、年金事務所で相談できます。
一方で、国民年金の老齢基礎年金には、年金分割の影響はありません。分けるのは、あくまで厚生年金の部分です。
よくある質問
元夫が協力してくれない場合は、どうなりますか?
相手が扶養に入っていた期間(2008年4月以降の第3号被保険者の期間)であれば、3号分割は相手の合意が要りません。合意分割で話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停や審判で、割合を決めることができます。相手が協力しないからといって、あきらめる必要はありません。
自分も会社員で、厚生年金に入っていました。対象になりますか?
対象になる場合があります。合意分割は、婚姻期間中の二人の厚生年金の記録を合計して、分ける割合を決めるしくみです。まず、情報通知書で、二人の記録と、割合の範囲を確認してください。
相手が自営業(国民年金だけ)でした。分けてもらえますか?
年金分割は、厚生年金の記録を分ける制度です。相手が自営業などで、厚生年金に入っていなかった期間は、分ける記録がありません。国民年金の老齢基礎年金には、影響しません。
離婚から時間がたってしまいました。まだ間に合いますか?
期限は、離婚した時期で違います。令和8年4月1日以降の離婚は5年、令和8年3月31日以前の離婚は2年です。期限を過ぎると、原則として請求できなくなります。ただし、期限内に調停・審判などが始まっていた場合など、特例もあります。迷ったら、すぐに年金事務所へ相談してください。
離婚する前でも、情報通知書は取れますか?
取れます。情報通知書の請求は、離婚の前でも後でもできます。一人で請求することもできます。割合を話し合う前に取っておくと、話し合いが進めやすくなります。
どこに相談すればいいですか?
お近くの年金事務所、または街角の年金相談センターで相談できます。必要書類を確認してから出かけると、窓口での手続きがスムーズです。
まとめ|期限内に、年金事務所へ
離婚の手続きは、やることが多くて、年金のことは後回しになりがちです。でも、年金分割は、将来ずっと続く年金額に関わる手続きです。
📌 この記事のまとめ
- 年金分割は、婚姻期間中の厚生年金の記録を分ける制度
- 期限は、離婚等の翌日から5年(令和8年3月31日以前の離婚は2年)
- 合意分割は相手との合意が必要、3号分割は合意が不要
- 情報通知書だけでは分割されない。標準報酬改定請求書を出す
- 迷ったら、期限の前に年金事務所へ相談する
知らないまま期限が過ぎてしまうのは、とてももったいないことです。まずは、お近くの年金事務所に、電話で相談してみてください。
📎 公式の情報(一次情報)
- 日本年金機構「離婚時の年金分割」
- 日本年金機構「離婚時の厚生年金の分割(合意分割制度)」
- 日本年金機構「離婚時の厚生年金の分割(3号分割制度)」
- 日本年金機構「離婚時の年金分割の請求期限が改正されました」
- 法務省「りこんポータル|離婚を考えている方へ」(財産分与の期限)
※ 本記事は2026年11月時点の公表情報をもとにしています。制度の内容や期限は変わることがあります。手続きの前に、上記の公式サイトや、お近くの年金事務所で、最新の情報をご確認ください。
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この記事を書いた人:masako
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