「入院することになったけれど、子どものごはんはどうしよう」「残業で、どうしても帰りが遅くなる日がある」——ひとり親にとって、自分が動けなくなることは、生活そのものが止まることを意味します。
そんなとき、家に来て、家事や子どもの世話をしてくれる公的な制度があります。「ひとり親家庭等日常生活支援事業」です。名前が固いので知られていませんが、使える場面はとても広い制度です。
💡 この記事の結論
- 「家庭生活支援員」が家に来て、家事や子どもの世話をしてくれる制度
- 使えるのは病気・入院・出産・看護・事故・冠婚葬祭・残業・出張、資格取得の通学や就職活動のときなど
- 支援員の自宅などで子どもを預かってもらうこともできる
- 残業で帰りが遅くなる等の理由なら、定期的な利用もできる(乳幼児〜小学生を育てる家庭)
- 利用料は自治体ごとに違う。生活保護世帯・住民税非課税世帯は安く設定されていることが多い
- 窓口はお住まいの自治体のひとり親担当課。事前の登録が必要なことが多いので、困る前に登録を
ひとり親家庭等日常生活支援事業とは?
ひとり親家庭(母子家庭・父子家庭)や寡婦の方が、一時的に生活が回らなくなったときに、「家庭生活支援員」を派遣してもらえる国の制度です。実際に運営するのは、お住まいの都道府県・市区町村です。
ポイントは、「困っている理由」が幅広く認められていることです。病気のときだけではありません。
どんなときに使える?|一時的な利用と定期的な利用
| 区分 | 使える場面 | 対象 |
|---|---|---|
| 一時的な利用 | 病気・出産・看護・事故・入院・冠婚葬祭・残業・出張 資格取得のための通学、就職活動など自立に必要なこと | ひとり親家庭・寡婦 |
| 定期的な利用 | 仕事の都合で帰宅が遅くなる日が決まっている場合など | 乳幼児または小学生を育てているひとり親家庭 |
「入院」はもちろんですが、残業や出張、就職活動でも使えるのが、この制度の心強いところです。「仕事を探したいけれど、面接の間、子どもを見てくれる人がいない」——その場面にも使えます。
なお、離婚が成立する前であっても、支援が必要な状態であれば対象に含まれる扱いになっています。別居して一人で子どもを育てている段階でも、あきらめずに相談してみてください。
何をしてもらえる?|支援の中身
| 支援の種類 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 生活援助 | 食事の世話、住居の掃除、身の回りの世話、生活必需品の買い物など |
| 子育て支援 | 乳幼児の保育、児童の生活指導(勉強を見る、生活リズムを整えるなど) |
| 場所 | 自宅に来てもらう/支援員の居宅などで子どもを預かってもらう |
「家に人が入るのは抵抗がある」という場合、支援員の自宅で預かってもらう形を選べる自治体もあります。入院するときは、この形が現実的です。
利用料はいくら?|自治体によって違います
⚠️ 金額は「自治体による」が正解です
利用料は、1時間あたりの単価で決められていますが、実際の金額は実施する自治体ごとに異なります。所得に応じた区分が設けられていて、生活保護世帯や住民税非課税世帯は、無料または低い金額に設定されていることが多いです。
ネット上には「1時間◯円」という数字が出回っていますが、それは支援員への手当や国の補助の単価で、利用者が払う金額とは別です。必ずお住まいの自治体に確認してください。
出典:西東京市「令和8年度 ひとり親家庭ホームヘルプサービスの利用案内」
申し込みの流れ|「困る前に登録」が鉄則
✅ いちばん大事なこと
この制度は、事前の登録を求められることがほとんどです。「入院が決まってから」では間に合わないこともあります。元気なうちに登録だけ済ませておくと、いざというとき迷わず使えます。
こんなときに役立ちます|ひとり親の現実的な使い方
似ている制度との違い|どれを使えばいい?
「子どもを預ける」「家のことを頼む」サービスはいくつかあります。混乱しやすいので、整理しておきます。
ひとり親であれば、日常生活支援事業がいちばん費用を抑えやすいのが基本です。ただし「急に今日」という場面ではファミサポや病児保育のほうが動きやすいこともあります。複数を登録しておき、場面で使い分けるのが現実的です。
病児保育とファミサポのくわしい使い方は、子どもの急な発熱で仕事を休めない時にまとめています。
入院が決まったら|使う順番の例
自分の入院が決まったとき、何から手をつければいいか。順番の目安です。
入院が決まったらすぐ
自治体のひとり親担当に連絡。登録がまだなら登録を急ぐ。入院期間と子どもの年齢を伝える
入院の1〜2週間前
利用する日程を申し込む。宿泊が必要ならショートステイも併用できるか相談
入院の数日前
支援員と顔合わせができるか確認。子どもに「この人が来るよ」と伝えておく
入院中
学校・保育園に事情を共有。緊急連絡先を支援員にも渡しておく
退院後
体力が戻るまでは、生活援助を継続して使えないか相談
見落としがちなのが退院後です。退院した日から元どおり動けるわけではありません。「退院後もしばらく使いたい」と最初に伝えておくと、調整してもらいやすくなります。
登録のときに聞いておきたいこと
✅ このリストをメモして窓口へ
- 利用料は1時間いくらか(わが家の所得区分だといくらか)
- 何日前までに申し込めばよいか/当日・前日は対応してもらえるか
- 1回に使える時間の上限、1か月に使える回数の上限
- 自宅派遣と支援員宅での預かり、どちらも選べるか
- 宿泊が必要なときはどうするか(ショートステイの案内があるか)
- 夜間・早朝・土日は対応しているか
- きょうだいが複数いる場合の扱い
とくに「何日前までに申し込むか」は必ず確認してください。ここが分かっていれば、急な予定にも落ち着いて対応できます。
よくある質問
Q. ファミリー・サポート・センターとは違うのですか?
A. 別の制度です。ファミサポは地域の会員同士の助け合いで、主に送迎や短時間の預かりを担います。日常生活支援事業はひとり親家庭を対象にした制度で、家事そのもの(掃除・食事・買い物)も頼めるのが大きな違いです。両方を登録しておくと、場面に応じて使い分けられます。
Q. 父子家庭でも使えますか?
A. 使えます。母子家庭・父子家庭・寡婦が対象です。
Q. 当日や前日でも申し込めますか?
A. 自治体によって異なります。急な利用に対応している自治体もあれば、数日前までの申し込みが必要なところもあります。登録のときに、急なときはどうすればよいか聞いておくと安心です。
Q. どこに連絡すればいいですか?
A. お住まいの市区町村の「子育て支援課」「こども家庭課」「ひとり親支援担当」などです。母子・父子自立支援員が配置されている窓口なら、その方に相談するのが早道です。
まとめ|「頼れる人がいない」を、制度で埋める
ひとり親が倒れたとき、代わりに動いてくれる人がいない——それが、いちばんの不安だと思います。この制度は、その穴をまさに埋めるために作られています。
使う予定がなくても、登録だけしておく。それだけで、「いざとなったら頼れる場所がある」という安心が手に入ります。まずは、お住まいの自治体に問い合わせてみてください。
📎 公式の情報(一次情報)
- こども家庭庁「ひとり親家庭等関係」(日常生活支援事業を含む、ひとり親支援の全体)
※ 本文は上記の公式情報をもとに確認しています(2026年10月現在)。利用料・申込方法・急な利用への対応は自治体ごとに異なりますので、お住まいの窓口でご確認ください。
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この記事を書いた人:masako
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