「子どもが熱を出したけれど、仕事を休めない」「学級閉鎖になったのに、預け先がない」——ひとり親にとって、子どもの急な病気や休校は、仕事との両立でいちばんの悩みです。そんなときに使える権利が、「子の看護等休暇」です。令和7年4月に制度が改正され、対象の年齢や、休める理由が広がりました。この記事では、厚生労働省の資料にもとづいて、条件・日数・使える場面・申し出の方法を整理します。
💡 この記事の結論
- 小学校3年生修了までの子を養育する人が、1年度に5労働日(子が2人以上なら10労働日)まで取得できる
- 1日単位でも、時間単位でも取得できる。年次有給休暇とは別に与えられる
- 令和7年4月から、学級閉鎖等や入園・入学式にも使えるようになった
- 勤続6か月未満でも、取得できる(これまでの除外の規定が、なくなった)
- 給料が出るかどうかは、勤務先の規則による(法律では、この休暇を有給とするよう定めてはいない)
子の看護等休暇とは?|基本のしくみ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象の子 | 小学校第3学年修了までの子(令和7年4月から拡大。以前は、小学校就学前まで) |
| 取得できる日数 | 1年度に5労働日。養育する子が2人以上の場合は、10労働日が限度 |
| 日数の数え方 | 労働者1人につき5日(10日)。子ども1人につき5日、ではない |
| 取得の単位 | 1日単位、または時間単位 |
| 「1年度」とは | 事業主が特に定めない場合は、毎年4月1日から翌年3月31日 |
| 年次有給休暇との関係 | 年次有給休暇とは別に与える必要がある |
この休暇は、子どもの病気やけがのときに、休みを取りやすくして、子育てをしながら働き続けられるようにするための「権利」です。「会社に迷惑をかける」と遠慮せず、制度を知っておくことが大切です。
どんなときに使える?|4つの事由
| 使える場面 | 内容 | 令和7年4月 |
|---|---|---|
| ①子どもの病気・けがの世話 | 風邪による発熱など、短期間で治る病気でも、必要なら取得できる(病気の種類や程度に制限なし) | もともと対象 |
| ②予防接種・健康診断 | 子に予防接種や健康診断を受けさせるとき(インフルエンザなどの任意接種も含む) | もともと対象 |
| ③学校の休業等 | 学級閉鎖や、感染症による出席停止など(学校・保育所等) | 追加 |
| ④入園・卒園・入学の式典 | 入園式・卒園式・入学式など、同じ性質の式典に参加するとき | 追加 |
令和7年4月の改正|何が変わった?
| 変更点 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 名称 | 子の看護休暇 | 子の看護等休暇 |
| 対象の子の年齢 | 小学校就学前まで | 小学校第3学年修了まで |
| 休める理由 | 病気・けが/予防接種・健康診断 | 学級閉鎖等、入園・卒園・入学の式典が追加 |
| 勤続6か月未満の労働者 | 労使協定で、対象外にできた | その規定が撤廃(勤続が短くても、取得できる) |
✅ 勤務先から、断られないケース
- パート・アルバイト、期間を定めて雇用される人(有期雇用)
- 勤続期間が、まだ短い人(令和7年4月から、6か月未満の除外はなくなった)
- 配偶者が専業主婦(夫)の人も、同じ(ひとり親は、もちろん対象)
- 1日単位での申し出(どんな働き方でも、基本は拒めない)
取得できない場合もある|例外
日々雇い入れられる人
対象外
1週間の所定労働日数が2日以下の人
労使協定があれば、取得できない場合がある
時間単位での取得が困難と認められる業務の人
時間単位での取得は、労使協定で除外できる。ただし、1日単位では取得できる
申し出の方法|当日の電話でもOK
- 申し出に必要な項目:自分の氏名、子の氏名と生年月日、休暇を取る日(時間)、休む理由(子の病気・予防接種・学級閉鎖など)
- 緊急の場合は、当日の電話などの口頭でも取得を認めることが必要とされています。書面の提出は、事後でも差し支えないとされています
- 病気やけがの事実を、証明する書類を求められる場合があります。ただし、事後の提出を可能にするなど、過重な負担にならない配慮が求められています
- 診断書がなくても、購入した薬の領収書などで確認するといった、柔軟な取り扱いが求められています
📞 当日の連絡の例
- 「子どもが発熱したため、本日、子の看護等休暇を取得したいのですが」と、制度の名前を出して伝える
- 休む時間(1日・午前だけ、など)を、具体的に
- 仕事の引き継ぎが必要なものは、先にメールで共有しておく
- 後日、必要な書類(領収書など)を出せることを、あわせて伝える
時間単位で取るとき|数え方のルール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取り方 | 始業時刻から連続、または終業時刻まで連続する時間で取得(「中抜け」を認めることまでは、法令では求めていない) |
| 1日分の時間数 | 1日の所定労働時間数(1時間に満たない端数は切り上げ) |
| 例 | 所定労働時間が7時間30分の場合 → 8時間分で「1日分」 |
| 1日分と同じ時間を休む場合 | 1日単位の取得として扱う |
ひとり親の使い方|5日を上手に使う
子どもが1人なら、年に5日。ひとり親にとっては、十分とはいえない日数です。1日単位で使い切るより、「午前だけ」「午後だけ」など、時間単位で使うと、日数を長持ちさせられます。
| 場面 | 対応の組み合わせ |
|---|---|
| 発熱(短期間) | 時間単位の看護等休暇+病児保育・ファミサポ(病児保育とファミサポ) |
| 入院 | 看護等休暇+年次有給休暇。預け先の支援も(入院時の預け先) |
| 学級閉鎖 | 看護等休暇(令和7年4月から対象)+在宅勤務の相談 |
| 入学式・卒園式 | 看護等休暇(④の式典)。授業参観などは、対象外 |
🌿 日数が足りなくなったときの考え方
- 年次有給休暇と、うまく組み合わせる(看護等休暇は、別枠)
- 病児保育・ファミリー・サポートを、先に登録しておく
- 勤務先に、在宅勤務・時短・シフトの相談をしておく(急な休みへの理解がある職場かも、大切な視点です。転職の記事も参考に)
- 日数や給与の扱いは、会社の制度で、法律より手厚いこともある。就業規則を確認する
就業規則で確認すること|チェックリスト
| 確認する項目 | なぜ大事か |
|---|---|
| 制度の名称と、取得できる日数 | 法律を上回る内容(日数が多い・対象の子の年齢が広い)の会社もある |
| 有給か無給か | 法律では、有給とする定めはない。会社の規定で決まる |
| 申し出の方法・連絡先 | 当日の電話でよいか、書面はいつまでに出すか |
| 証明書類の扱い | 領収書など、どんな書類で足りるか。事後の提出が可能か |
| 時間単位での取得のルール | 「午前だけ」「午後だけ」などが、できるか |
| 自分が、対象外にならないか | 労使協定で、除外されていないか(週の所定労働日数など) |
制度を使うのは、ルール違反でも、わがままでもありません。法律で認められた権利です。先に、就業規則を確認しておくと、いざというときに、慌てずに連絡できます。
困ったとき|相談先
- ✔ 勤務先が、制度を認めてくれない:都道府県労働局の「雇用環境・均等部(室)」(無料で相談できる)
- ✔ 就業規則に、制度がない:制度は、就業規則の記載にかかわらず、法律で定められた権利。まず、労働局へ
- ✔ 取得したことを理由に、不利益な扱いを受けた:不利益な取り扱いは、法律で禁止。労働局へ相談
- ✔ 制度の内容を、確認したい:厚生労働省の育児・介護休業法の案内、勤務先の人事担当者
📝 休む前に、先に準備しておくとラクなこと
- 子どもの生年月日を、すぐ言えるようにメモしておく
- 仕事の引き継ぎの手順を、チームで共有しておく
- 病児保育やファミサポの登録を、元気なうちに済ませておく
- 薬の領収書やレシートは、とっておく(証明書類として使える場合がある)
- 年度の途中で、取得した日数を、自分でも記録しておく
制度を知っていることが、ひとり親の「安心」につながります。「いつでも使える」と思えるだけで、急な発熱のときも、落ち着いて動けるようになります。
よくある質問
パートやアルバイトでも、取得できますか?
はい。期間を定めて雇用される人も、取得を拒まれることはありません。ただし、1週間の所定労働日数が2日以下の人などは、労使協定があれば取得できない場合があります。就業規則や、人事担当者に確認してください。
子どもが2人いる場合は、何日ですか?
養育する小学校第3学年修了までの子が2人以上の場合は、1年度に10労働日が限度です。1人あたり5日という数え方ではなく、労働者1人につき、5日(2人以上なら10日)です。
休んだ日の給料は、出ますか?
法律上、この休暇を有給にすることは求められていません。有給か無給かは、勤務先の就業規則によります。有給にしている会社もあります。就業規則を確認してください。
診断書が必要ですか?
証明する書類を求められる場合がありますが、厚生労働省の資料では、医師の診断書がなくても、購入した薬の領収書などで確認するなど、柔軟な取り扱いが求められています。事後の提出でも差し支えないとされています。
「休むなら辞めてもらう」と言われたら?
子の看護等休暇の取得を理由にした、不利益な取り扱いは、法律で禁止されています。不安なときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に、無料で相談できます。
📎 公式の情報(一次情報)
- 厚生労働省「子の看護等休暇」(対象の子の範囲・日数・取得できる事由)
- 厚生労働省「育児・介護休業法 法改正のポイント」(令和7年4月からの変更点)
※ 記載の内容は上記の公式情報をもとに確認しています(2026年10月現在)。労使協定の有無など勤務先ごとの扱いは、就業規則をご確認ください。
まとめ|知っているだけで、使える「権利」
🌸 この記事のまとめ
- 小学校3年生修了までの子がいれば、1年度に5日(子2人以上は10日)、1日または時間単位で取得できる
- 病気・けが、予防接種、学級閉鎖等、入園・入学式に使える(令和7年4月から拡大)
- 勤続6か月未満でも、パートでも、原則として取得できる
- 申し出は、当日の電話でもOK。診断書がなくても、領収書などで対応できる場合がある
- 給与の扱いは、勤務先の規則。就業規則を確認しましょう
※ 制度の内容は、変わることがあります。最新の情報は、勤務先、または都道府県労働局・厚生労働省の案内で確認してください。
参考・出典
- ※ 厚生労働省「育児・介護休業法 解説」Ⅳ 子の看護等休暇制度(改正法第16条の2・第16条の3)
- ※ 厚生労働省「育児・介護休業法 令和7年(2025年)改正のポイント」
- ※ 2026年10月時点の公表資料にもとづきます。
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この記事を書いた人:masako
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