国民健康保険料と国民年金保険料。毎月の納付書を前に、「今月は払えるかな…」と胸が重くなったことはありませんか。実は、どちらにも収入が少ないときに、保険料が安くなったり、払わなくてよくなったりする仕組みがあります。ただし、多くは知って、自分から申し出ないと使えません。この記事では、日本年金機構や自治体の公式案内をもとに、令和8年度(2026年度)の内容を整理します。
まず結論|「払えない」を放置せず、先に相談する
- 国民年金には、保険料を「全額免除」「一部免除(4分の3・半額・4分の1)」「納付猶予」にできる制度がある。申請して審査に通ることが必要
- 免除・猶予を受けた期間は、ただの「未納」とは扱いが違う。受給資格期間に反映され、10年以内なら後から納める(追納する)こともできる
- 国民健康保険は、世帯の所得に応じて保険料の均等割が7割・5割・2割軽減される。所得がわかっていれば自動で判定される
- 子どもの均等割にも軽減がある(未就学児は半額、令和8年度から18歳未満は子ども・子育て支援金分が全額軽減)
- いちばん避けたいのは、何も言わずに滞納すること。払えないと思った時点で、窓口に相談する
この記事が当てはまる人
この記事の対象は、国民健康保険・国民年金に自分で加入していて、保険料を自分で納めている方です。パートや派遣、フリーランスなどで、勤め先の健康保険・厚生年金に入っていない方が中心です。勤め先の社会保険に入り、保険料が給料から天引きされている方は、この記事の免除・軽減の対象とは仕組みが異なります。
国民年金|払えないときは「未納」にせず、免除・猶予を
国民年金保険料は、令和8年度で月額16,980円です。日本年金機構によると、経済的に納めるのが難しいときのために、次の制度があります。
| 種類 | 毎月納める額(令和8年度) | 将来の老齢基礎年金 |
|---|---|---|
| 全額免除 | 0円 | 全額納付した場合の50% |
| 4分の3免除 | 4,480円 | 62.5% |
| 半額免除 | 8,960円 | 75% |
| 4分の1免除 | 13,440円 | 87.5% |
| 納付猶予(50歳未満) | 0円 | 年金額には反映されない(受給資格期間には入る) |
どのくらいの所得なら対象になる?
審査の対象になるのは、本人・配偶者・世帯主の前年の所得です。全額免除と納付猶予の目安は、次の式で計算した金額以下であることです。
- 全額免除・納付猶予:(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円
- 4分の3免除:88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
- 半額免除:128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
- 4分の1免除:168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
たとえば、扶養親族が子ども1人の場合、全額免除の目安は(1+1)×35万円+32万円=102万円です。ここでいうのは「収入」ではなく、収入から給与所得控除などを引いた「所得」です。また、日本年金機構の案内には、地方税法に定める障害者・寡婦・ひとり親の場合は基準額が変わるとあります。ひとり親の方は式どおりにならないことがあるため、申請の前に窓口で確認してください。
注意したいのは、世帯主の所得も審査に入る点です。実家で親が世帯主になっている場合は、親の所得も見られます。
失業・収入が急に減ったときの特例
失業した場合は、失業した方の前年所得をゼロとみなして審査する特例があります。原則として、失業した年またはその翌年の申請が対象です。雇用保険の離職票のコピーなどが必要になることがあります。
「未納」より免除・猶予が良い理由
- 追納できる期間が違う:未納は2年前までしか納められませんが、免除・猶予の期間は10年以内なら追納できます。追納すると、将来の老齢基礎年金が増えます
- もしものときの年金に影響する:未納だと障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取れない場合があります。免除・猶予は、その受け取る条件に含まれます(一部免除で、減額された保険料を納めていない場合を除く)
- 受給資格期間に入る:免除・猶予の期間は、年金を受け取るために必要な期間に反映されます
小さな子どもを育てている間は、「もしも自分に何かあったら」という備えも大切です。遺族年金のしくみは シングルマザーのもしもの備え でも整理しています。
申請のしかた
- 申請できるのは、保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1か月前まで)
- 申請は、原則として毎年度必要。ただし、全額免除・納付猶予の承認を受けた方が翌年度も希望する場合は、継続して申請があったものとして審査される(失業等による特例免除は翌年度も申請が必要)
- マイナポータルからの電子申請ができる。窓口や郵送では、基礎年金番号またはマイナンバーカードなどが必要
- 出産前後の期間の免除など、ほかの免除制度もある。詳しくは日本年金機構のページや年金事務所へ
国民健康保険|収入が少ないときの軽減
国民健康保険料(税)は、自治体が計算します。金額や細かい制度は自治体ごとに違いますが、次の軽減は令和8年度の自治体の案内(東京都板橋区、三重県松阪市)で確認できました。
所得に応じた7割・5割・2割の軽減
世帯の所得が基準以下だと、保険料のうち「均等割」(加入者1人ごとにかかる部分)などが軽減されます。
| 軽減割合 | 世帯の所得の基準(令和8年度) |
|---|---|
| 7割軽減 | 43万円+(給与所得者等の数-1)×10万円 |
| 5割軽減 | 43万円+(給与所得者等の数-1)×10万円+31万円×国保加入者数 |
| 2割軽減 | 43万円+(給与所得者等の数-1)×10万円+57万円×国保加入者数 |
たとえば、母と子1人(国保加入者2人)で、給与所得者が母1人の世帯なら、7割軽減が43万円、5割軽減が105万円(43万円+31万円×2人)、2割軽減が157万円(43万円+57万円×2人)以下です。板橋区の案内では、「所得が判明していれば、自動的に軽減」されます。収入が少なくても、所得の申告がされていないと判定できないことがあるため、住民税の申告は忘れずにしておきましょう。
子どもの均等割の軽減
- 未就学児:令和2年4月2日〜令和9年4月1日生まれの子は、均等割が2分の1に軽減される。届出は不要
- 18歳未満:平成20年4月2日〜令和9年4月1日生まれの子は、令和8年度の子ども・子育て支援金分の均等割が全額軽減される。届出は不要(板橋区の案内より)
届出が必要な軽減もある
- 非自発的失業者の軽減:会社の倒産・解雇などで離職した場合、前年の給与所得を100分の30として計算する。自動では行われず、届出が必要
- 産前産後の軽減:出産前後の4か月分相当が減額される。こちらも届出が必要
なお、板橋区の案内には、ひとり親だけを対象にした軽減は載っていません。「ひとり親だから自動的に安くなる」とは限らないため、お住まいの自治体の国保窓口で、使える軽減を確認してください。ひとり親家庭の医療費の助成については ひとり親家庭の医療費助成 の記事で詳しくまとめています。
🌿 私の場合
幸いにも、国民健康保険料や年金が払えなくて困ったことは、これまでありません。その理由は、日ごろから家計管理を続けてきたことと、無理に生活水準を上げず、身の丈に合った暮らしを保ってきたことだと思っています。
もし手続きが必要になったときは、まず役所の窓口で聞いてみることをおすすめします。その場で申請書を書いてしまうと、スムーズです。窓口に行くのが難しいときは、電話での相談も、ぜひ活用してください。
手続きの進め方|迷ったらここに相談
- 国民年金:お住まいの市区町村の国民年金窓口か、年金事務所に相談する(マイナポータルからの電子申請も可)
- 国民健康保険:市区町村の国保窓口に、「収入が減って払うのが難しい」と伝え、使える軽減を確認する
- 持ち物の例:本人確認書類、基礎年金番号またはマイナンバーカード、失業した場合は離職票のコピーなど(窓口で事前に確認すると安心)
- 前年の所得の申告:無収入・低収入でも、住民税の申告をしておく
よくある質問
免除を受けると、将来の年金はゼロになりますか?
ゼロにはなりません。全額免除の期間は、保険料を全額納付した場合の2分の1で年金額に反映されます(日本年金機構)。さらに、10年以内であれば追納して増やすこともできます。
納付猶予は誰でも使えますか?
納付猶予は50歳未満の方が対象です。猶予の期間は受給資格期間には入りますが、年金額の計算には含まれません。将来の年金額を増やすため、追納をすすめる案内があります。
実家暮らしでも免除は申請できますか?
申請はできますが、審査は本人・配偶者・世帯主の前年所得で行われます。親が世帯主の場合は、親の所得も見られる点に注意が必要です。詳しい判定は窓口で確認してください。
会社員になったら、免除した分はどうなりますか?
勤め先の厚生年金・健康保険に入ると、保険料は給料から天引きされます。免除・猶予を受けた期間の分は、承認から10年以内なら追納できます。
すでに滞納している分も、免除にできますか?
国民年金は、申請時点から2年1か月前までさかのぼって申請できます。それより前の分は対象外になるため、早めの相談が大切です。国保の滞納分は、自治体によって対応が異なりますので、まず窓口に連絡してください。
まとめ|「払えない」は恥ずかしいことではありません
- 国民年金は全額免除・一部免除・納付猶予があり、未納より将来の安心につながる
- 国保は7割・5割・2割の軽減と、子どもの均等割の軽減がある。所得の申告を忘れずに
- 失業・収入減、出産前後などの特例は届出・申請が必要
- 迷ったら、放置せず、年金事務所・市区町村の窓口へ
制度は、使う人が申し出て初めて動き出します。「払えない」と気づいた今が、いちばん良いタイミングです。※制度の内容や基準は、年度や自治体によって変わることがあります。申請前に必ず、日本年金機構や自治体の最新の案内をご確認ください。
参考・出典
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除・納付猶予制度」パンフレット
- 東京都板橋区「国民健康保険料の軽減・減免」(令和8年度)
- 三重県松阪市「国民健康保険税の軽減(令和8年度)」
- ※ 本記事は2026年9月時点の公式案内にもとづきます。
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この記事を書いた人:masako
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