「中卒だから、選べる仕事が限られてしまう」「高校を中退したままで、この先どうしよう」——そんな悩みを抱えるシングルマザーは少なくありません。結論から言うと、高校を卒業していなくても、「高卒認定試験」に合格すれば、高校卒業と同じ扱いの資格が得られます。さらに、ひとり親家庭には、講座の受講費用の一部が戻ってくる給付金があります。この記事では、こども家庭庁と文部科学省の公式情報をもとに、試験の基本と給付金の仕組みを整理します。
💡 この記事の結論
- 高卒認定試験に合格すると、「大学入学資格」が得られる。就職の採用試験などでも、高校卒業と同等に扱われる
- ひとり親には「学び直し支援事業」がある。講座の受講費用の一部が支給される(通信講座なら合計上限15万円、通学なら30万円)
- 利用には、お住まいの自治体への事前相談と、自立支援プログラムの策定が必要
- 試験は年2回。一部の科目だけ合格する「科目合格」も可能。働きながら、少しずつ進められる
高卒認定試験とは?|基本をやさしく整理
高卒認定試験(正式には「高等学校卒業程度認定試験」)は、高校を卒業していない人が、高校卒業と同じ程度の学力があると認められるための試験です。文部科学省が実施しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格 | 受験する年度の終わりまでに満16歳以上になる人。年齢の上限はない |
| 受験できない人 | 高校を卒業した人、大学入学資格検定の合格者など、すでに大学入学資格を持っている人 |
| 実施回数 | 年2回(令和8年度は、第1回が8月6〜7日、第2回が11月7〜8日) |
| 科目合格 | 一部の科目だけ合格することができる。残りの科目は、あとから合格をめざせる |
| 合格すると | 大学入学資格が得られる。採用試験や国家資格などで、高校卒業と同等に扱われる |
「年齢が上でも受けられるの?」「勉強から離れて長いけど…」という不安も多いですが、年齢の上限はなく、科目ごとに少しずつ合格を積み重ねられるのが、この試験の大きな特徴です。
ひとり親が使える「学び直し支援事業」
ひとり親家庭の親(または子ども)が、高卒認定試験の合格をめざす講座を受けるとき、受講費用の一部が支給される制度があります。正式には「ひとり親家庭学び直し支援事業」と呼ばれ、都道府県・市・福祉事務所を設置する町村が実施しています。
| 通信講座の場合 | 通学(または併用)の場合 | |
|---|---|---|
| 受講開始時 | 受講費用の最大4割(上限10万円) | 受講費用の最大4割(上限20万円) |
| 受講修了時 | 受講費用の最大5割(開始時と合わせて上限12万5千円) | 受講費用の最大5割(開始時と合わせて上限25万円) |
| 合格時 | 受講費用の1割(合計の上限15万円) | 受講費用の1割(合計の上限30万円) |
🧮 計算例(通信講座・受講費用が25万円の場合)
- 受講開始時:25万円の4割=10万円(上限10万円)
- 受講修了時:5割は12万5千円だが、開始時と合わせて上限12万5千円のため、追加で2万5千円
- 合格時:1割=2万5千円
- 合計:15万円(上限15万円に到達)
- ※ あくまで計算例です。実際の金額は、講座の費用や自治体の運用によって変わります。
「受講費用がまとまって払えない」という不安は、まず自治体の窓口に相談してください。支給のタイミングや、費用の立て替えが必要かどうかは、自治体によって運用が異なるため、事前に確認しておくと安心です。
利用するための条件と、申請の流れ
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | ひとり親家庭の親、または子ども(母子家庭・父子家庭) |
| 必要性の認定 | 高卒認定試験の合格が、適職に就くために必要と認められること |
| 自立支援プログラム | 母子・父子自立支援プログラムの策定を受けていること |
申請の流れは、次のようなイメージです。講座に申し込む前に、必ず窓口へ相談するのがポイントです。
- STEP1:お住まいの市(町村にお住まいの場合は都道府県)の児童福祉の担当窓口へ相談
- STEP2:自立支援プログラムの策定(就労の目標や、学び直しの必要性を相談)
- STEP3:対象となる講座を選び、申請手続き
- STEP4:受講。修了・合格のタイミングで、給付金を申請
⚠️ 講座を申し込む前に確認すること
- その講座が、給付金の対象になっているか(自治体ごとに指定がある場合がある)
- 自治体で、この事業を実施しているか
- 申請の期限や、受講前に必要な手続き
- 先に申し込んでしまうと、対象外になる場合もあるため、必ず窓口へ事前相談を
高卒認定のあとに広がる道
| 進む道 | できること | 関連情報 |
|---|---|---|
| 就職・転職 | 高校卒業を条件とする求人・採用試験に応募しやすくなる | シングルマザーの働き方の選び方 |
| 資格取得 | 看護師・介護福祉士・保育士など、養成校の入学条件を満たせる場合がある | 高等職業訓練促進給付金とは |
| 大学・専門学校への進学 | 大学入学資格が得られ、受験できる | 母子家庭の大学費用はいくら? |
| スキルアップ | 講座の受講費用を助ける制度を使う | ひとり親の再就職の進め方 |
資格選びの全体像はシングルマザーにおすすめの資格でも整理しています。「まず高卒認定で土台を作り、その次に資格や進学へ進む」という段階的な進め方もできます。
知っておきたい|「高卒認定」と「高校卒業」の違い
とても大切なポイントなので、はじめに正直にお伝えします。高卒認定試験に合格しても、「高校を卒業した」ことにはなりません。最終学歴は「中学校卒業」などのまま変わらず、「高卒認定試験に合格した」という資格が加わる形です。
| 高卒認定試験 | 高校(通信制など)の卒業 | |
|---|---|---|
| 得られるもの | 大学入学資格(高校卒業と同等の学力の認定) | 高校卒業の学歴 |
| 期間の目安 | 科目ごとに合格を積み重ねる。早ければ短期間 | 在籍期間・単位の取得が必要で、数年かかる |
| 勉強の進め方 | 試験に向けて自分のペースで勉強 | 授業・レポート・スクーリングなど |
| 向いている人 | 短期間で、進学や資格の入口に立ちたい人 | 「高校卒業」の学歴そのものが必要な人 |
📝 履歴書には、どう書く?
- 学歴欄には、中学校卒業の年月を書く
- 続けて、「高等学校卒業程度認定試験 合格(令和◯年◯月)」と書く
- 資格欄にも、合格した年月を書いておくとわかりやすい
- 学び直した理由や努力は、志望動機や自己PRで前向きに伝えられる
履歴書や面接の伝え方は、シングルマザーの面接・履歴書のコツも参考にしてください。「働きながら、子育てしながら、学び直した」という経験は、あなたの強みとして評価されることもあります。
「高校卒業の学歴が必要か」「大学や専門学校に進みたいか」で、選ぶ道は変わります。進学や資格取得が目的なら高卒認定、学歴そのものが必要なら通信制高校、というように、目的から選ぶと迷いにくくなります。迷うときは、自治体の窓口や、ハローワークの相談で、状況に合う方法を相談してみてください。
働きながら進めるコツ|無理のない勉強の進め方
- 一度に全科目をめざさない:科目合格を積み重ねる。得意な科目から始める
- 勉強時間は「細切れ」で確保:子どもが寝たあとの30分、通勤時間、休日の午前など
- 通信講座・オンライン教材を使うと、子どもの預け先がなくても進めやすい
- 受験日から逆算して、1年ごとの目標を決める
- 家族や周りに、「勉強する時間」を伝えて協力をお願いする
勉強が続かない日があっても、大丈夫です。「今日は休む」と決めて、翌日にまた再開すれば、それで十分です。完璧に進めるより、止めずに続けることが、合格への近道です。
🌱 子どもにも伝わる「学び直し」
- 親が学ぶ姿は、子どもにとって大きな励ましになる
- 「一緒に勉強する時間」を作ると、子どもの学習習慣にもつながる
- 合格したときの喜びを、家族で分かち合える
よくある質問
高校を中退していても、受けられますか?
はい。高校を卒業していなければ、受験できます。ただし、受験する年度の終わりまでに満16歳以上であることが条件です。すでに高校を卒業した人や、大学入学資格を持っている人は受験できません。
何歳でも受けられますか?
年齢の上限はありません。満16歳以上であれば、年齢に関わらず受験できます。社会人になってから、働きながら合格をめざす人もいます。
給付金は、必ずもらえますか?
対象になるには、自治体への相談、自立支援プログラムの策定、対象講座の受講などの条件があります。また、自治体によって実施状況や運用が異なるため、まずお住まいの自治体の窓口で確認してください。
途中で挫折したら、費用はどうなりますか?
給付金は、講座の修了時や合格時にも支給される仕組みです。途中でやめた場合の扱いは、自治体や講座によって異なるため、申し込む前に窓口で確認しておくと安心です。
子どもの預け先がなくても勉強できますか?
通信講座やオンライン教材なら、自宅で子どもの生活リズムに合わせて進められます。通学の講座の場合は、託児の有無や、教室の時間帯を事前に確認してください。
まとめ|「中卒だから」で、あきらめなくて大丈夫
🌸 この記事のまとめ
- 高卒認定試験に合格すれば、大学入学資格が得られ、高校卒業と同等に扱われる
- ひとり親には、受講費用の一部が支給される学び直し支援事業がある(通信は合計上限15万円、通学は30万円)
- 利用には、自治体への事前相談と自立支援プログラムが必要
- 科目合格を積み重ねれば、働きながら進められる
- まずは、お住まいの自治体の窓口に、「高卒認定の支援を使いたい」と相談を
※ 制度の内容・金額・実施状況は、年度や自治体によって変わることがあります。最新の情報は、お住まいの自治体の窓口、こども家庭庁、文部科学省の案内で確認してください。
参考・出典
- ※ こども家庭庁「高等学校卒業程度認定試験合格支援事業について」(ひとり親家庭学び直し支援事業)
- ※ 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)」(令和8年度の実施日程を含む)
- ※ 2026年10月時点の公表資料にもとづきます。最新の内容は、自治体や各省庁でご確認ください。
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