🏛 支援制度
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2026年4月1日、離婚に関する法律(民法)が大きく変わりました。
ニュースでは「共同親権」ばかりが取り上げられましたが、ひとり親家庭にとって本当に大事なのは、養育費について新しくできた仕組みのほうかもしれません。
「取り決めをしていないから、もう請求できない」——そう思って諦めていた方に、届いてほしい内容です。落ち着いて、順番に見ていきましょう。
📋 この記事でわかること
- 取り決めがなくても請求できる「法定養育費」月2万円のしくみ
- 公正証書がなくても差押えできる「先取特権」とは
- 共同親権になると、何が変わって何が変わらないのか
- DV・虐待がある場合はどうなるのか
- 今からできる、具体的な行動
何が変わったのか ―― 3行でまとめると
法定養育費
取り決めがなくても月2万円を請求できるように
先取特権
公正証書がなくても差押えができるように
共同親権
離婚後も両親が親権を持つ選択ができるように
① 法定養育費 ―― 取り決めがなくても月2万円
これまでは、離婚のときに養育費の取り決めをしていなければ、あとから請求するのは大変でした。
しかし今回の改正で、取り決めがなくても、離婚と同時に自動的に請求できる養育費ができました。これが「法定養育費」です。
💴 法定養育費のポイント
- 金額:子ども1人につき、月額2万円
- 対象:2026年4月1日以降に離婚したケース
- 請求できる人:離婚後に子どもを主に育てている親
- 支払い時期:毎月末
- 終わるとき:①正式な取り決めをした日 ②養育費の審判が確定した日 ③子どもが18歳になった日——のいずれか早い日まで
※ 施行日より前に離婚された方には、この法定養育費は発生しません。ただし、通常の養育費請求はこれまでどおり可能です。出典:法務省
⚠️ ただし、支払いを拒めるケースもあります
支払う側が「支払う能力がまったくない」「支払うと自分の生活が著しく苦しくなる」(生活保護を受けているなど)ことを証明した場合は、支払いの全部または一部を拒むことができます。
つまり「必ず月2万円が入ってくる」と保証されたわけではない点は、正直に知っておいてください。
それでも、「取り決めがないから請求できない」という壁がなくなった意味はとても大きいです。まずは請求できる立場にある——そこから交渉が始められます。
② 先取特権 ―― 公正証書がなくても差押えできる
これまで、養育費が払われないときに相手の給料を差し押さえるには、公正証書や調停調書といった「債務名義」が必要でした。口約束や、二人で書いた紙だけでは動けなかったのです。
改正後は、養育費の債権に「先取特権(さきどりとっけん)」が認められました。
| 改正前 | 改正後(2026年4月〜) | |
|---|---|---|
| 必要な書類 | 公正証書・調停調書など公的な書面が必須 | 父母間で作成した文書でも申立て可能 |
| 上限 | 取り決めた金額 | 子1人につき月8万円まで(先取特権の対象額) |
| 手続き | 段階ごとに別々の申立て | 1回の申立てで財産開示→勤務先情報の取得→差押えまで |
※ 施行前の取り決めについても、施行日以後に発生する養育費には先取特権が付与されます。出典:法務省
さらに、裁判所への1回の申立てで、財産開示 → 市区町村への給与情報の照会 → 差押え命令まで、一連の手続きが進められるようになりました。これは実務上とても大きな改善です。
手続きの流れはこちら養育費、あきらめない?確実に受け取るための制度と手続きを徹底解説差し押さえの具体的な4ステップ、連絡が取れない相手への対処法をまとめています。 続きを読む →③ 共同親権 ―― 選べるようになった、ということ
いちばん報道された部分ですが、誤解も多いところです。正確に整理します。
👨👩👧 正しく理解しておきたいこと
- 「必ず共同親権になる」わけではありません。単独親権も選べます
- 協議離婚なら父母の話し合いで決め、まとまらない場合や裁判離婚では家庭裁判所が判断します
- 虐待のおそれがあるとき、DVなどで共同での話し合いが困難と認められるときは、家庭裁判所は必ず単独親権としなければなりません
- 施行日より前に離婚した方も、家庭裁判所に申し立てれば親権者の変更を求めることができます
共同親権でも、ひとりで決めていいこと
「共同親権になったら、何をするにも元配偶者の同意が必要になるの?」——そんな心配をされる方が多いですが、そうではありません。
| 場面 | ひとりで決められる? |
|---|---|
| 毎日の食事・服装 | ○ できる(日常の行為) |
| 習い事を始める | ○ できる(日常の行為) |
| 短期の旅行 | ○ できる(日常の行為) |
| 通常のワクチン接種 | ○ できる(日常の行為) |
| DV・虐待からの緊急避難 | ○ できる(急迫の事情) |
| 緊急の医療行為 | ○ できる(急迫の事情) |
| 引っ越し(転居) | △ 原則、共同で決める |
| 進路に影響する進学先の決定 | △ 原則、共同で決める |
| 子ども名義の口座開設など財産管理 | △ 原則、共同で決める |
※ 出典:法務省「民法等の一部を改正する法律」リーフレット
⚠️ DV・虐待を受けている方へ
法律は、あなたを危険にさらさないように作られています。DVや虐待のおそれがある場合、家庭裁判所は共同親権にすることができません。
また、避難などの急迫の事情があるときは、単独で判断して行動できます。
ひとりで抱え込まず、配偶者暴力相談支援センター、警察、弁護士、法テラスに相談してください。あなたと子どもの安全が、何よりも優先されます。
あなたと子どもの安全が、いちばん大切です
今からできること ―― 具体的な行動
🚶 進め方
今の状況を整理する
離婚の時期(2026年4月1日の前か後か)、養育費の取り決めの有無、その書面の種類を確認します。
書面があるか確認する
公正証書・調停調書があれば最強です。二人で書いた紙しかない場合でも、改正後は先取特権の対象になり得ます。
無料相談を使う
法テラス(日本司法支援センター)なら、収入が一定以下の方は無料で法律相談ができ、弁護士費用の立替制度もあります。
自治体の窓口にも相談する
多くの自治体が、ひとり親向けの養育費相談・公正証書作成費用の補助を用意しています。
取り決めを「書面」にする
これから決める方は、必ず公正証書に。将来の安心が、まったく変わります。
毎月の不安をなくす、もうひとつの選択肢
制度が整っても、「今月は振り込まれるだろうか」と待つ緊張は残ります。法的手続きには、時間も労力もかかるのが現実です。
そこで選択肢になるのが、民間の養育費保証サービスです。相手が支払わなかった場合に、保証会社が立て替えてくれる仕組みで、自治体によっては費用の補助もあります。
※ 各社で費用・保証期間・条件が異なります。契約前に必ず公式サイトで最新の内容をご確認ください。
よくある質問
まとめ:法律は、あなたの味方になりました
2026年4月の改正は、「養育費を受け取りにくかった構造」そのものを変えるものでした。
取り決めがなくても請求できる。公正証書がなくても差し押さえられる。一度の申立てで手続きが進む。——どれも、これまで多くの人が涙をのんできた場面を、変えるためのものです。
養育費は、子どもが持つ権利です。遠慮も、あきらめも、必要ありません。ひとりで戦わなくて大丈夫。制度があり、専門家がいて、同じ道を歩いてきた人たちがいます。
📌 この記事のまとめ
- 2026年4月1日、改正民法が施行された
- 法定養育費:取り決めがなくても子1人につき月2万円を請求できる(施行後に離婚した場合)
- 先取特権:公正証書がなくても差押え可能に(上限 子1人につき月8万円)
- 共同親権は選択制。DV・虐待のおそれがあれば必ず単独親権
- 日常のこと(食事・習い事・旅行・通常の予防接種)は共同親権でも単独で決められる
- まずは法テラスや自治体の窓口へ。相談は無料でできる
参考・出典
- 法務省「民法等の一部を改正する法律〔令和8年4月1日施行〕」および同リーフレット
- 裁判所「離婚後の親権者の定めに関する手続等」
- こども家庭庁 ひとり親家庭のためのポータルサイト「民法等改正について」
- ※ 本記事は2026年8月10日時点の公式情報に基づく一般的な解説です。個別の事案については、弁護士・法テラス・お住まいの自治体の窓口にご相談ください。

