💼 仕事・副業
「手に職があれば、もっと安定するのに」
「でも、学校に通っている間の生活費はどうすればいいの?」
その悩みに、国はすでに答えを用意しています。資格を取るために学んでいる間、毎月10万円が支給される制度があるのです。
意外なほど知られていませんが、ひとり親家庭にとっていちばん人生を変える力を持った制度かもしれません。この記事で、くわしく見ていきましょう。
📋 この記事でわかること
- 学んでいる間、月10万円が受け取れる制度のしくみ
- どんな資格が対象になるのか(IT・デジタル分野も対象)
- 受講料の最大85%が戻ってくるもうひとつの制度
- 入学準備金50万円・就職準備金20万円が返さなくてよくなる貸付
- 申請の流れと、絶対に間違えてはいけない順番
① 高等職業訓練促進給付金 ―― 学ぶ間、月10万円
看護師や保育士などの資格を取るため、養成機関(学校)で学ぶひとり親に対して、生活費として毎月支給される給付金です。貸付ではないので、返す必要はありません。
| 項目 | 住民税非課税世帯 | 住民税課税世帯 |
|---|---|---|
| 訓練促進給付金(月額) | 100,000円 | 70,500円 |
| 最終年の1年間(加算後) | 140,000円 | 110,500円 |
| 修了支援給付金(修了時) | 50,000円 | 25,000円 |
※ 最終年の1年間は月額4万円が加算されます。出典:こども家庭庁「高等職業訓練促進給付金のご案内」
たとえば3年課程の看護学校に通う非課税世帯の方なら、1・2年目は月10万円、3年目は月14万円。修了時にさらに5万円。合計で400万円を超える支援になります。
✅ 対象になる条件
- 児童扶養手当を受けている、または同等の所得水準であること(※所得が基準を超えても、1年間は継続して対象になります)
- 養成機関で6か月以上のカリキュラムを修業し、資格の取得が見込まれること
- 就業または育児と、修業の両立が困難と認められること
対象になる資格 ―― IT・デジタル分野も
「看護師や介護福祉士だけでしょう?」と思われがちですが、デジタル分野の資格も対象になっています。
医療・福祉
看護師、准看護師、介護福祉士、理学療法士、作業療法士
保育・教育
保育士など
調理・製菓
調理師、製菓衛生師
IT・デジタル
シスコシステムズ認定資格、LPI認定資格など
実際、令和6年度に資格を取得した3,041人のうち、IT関係が702人(約23%)と、看護師に次ぐ第2位になっています。デジタル分野は、この制度の中でも確実に広がっています。
🆕 2026年度から新しくなったこと
- 高等職業訓練促進「継続」給付金が新設:受給中に子どもが20歳になっても、引き続き扶養していれば同額の支給が続きます
- 准看護師から看護師の養成機関へ進学する場合、支給期間の上限が4年→5年に延長
※ 出典:こども家庭庁「令和8年度予算の概要」
「学びたいけれど、生活が」——その最大の壁を、この制度は取り除いてくれます。あなたが学ぶことを、社会が支えると決めているということです。堂々と使ってください。
② 自立支援教育訓練給付金 ―― 受講料が最大85%戻る
こちらは、講座の受講料そのものを補助してくれる制度です。①の給付金と並んで、ひとり親の学び直しを支える柱になっています。
| 講座の種類 | 支給される額 | 上限 |
|---|---|---|
| 一般・特定一般教育訓練の指定講座 | 受講料の60% | 20万円 |
| 専門実践教育訓練の指定講座 | 受講料の60% | 修学年数×40万円(最大160万円) |
| +資格を取って就職した場合 | さらに25%を追加(合計最大85%) | 年間20万円 |
※ 支給額が12,000円以下の場合は支給されません。雇用保険の教育訓練給付を受けられる方は、その差額が支給されます。出典:こども家庭庁
⚠️ 絶対に間違えてはいけない順番
受講する前に、都道府県等から講座の指定を受ける必要があります。
「先に申し込んで、あとから申請」では対象外になってしまいます。
必ず、受講を決める前に自治体の窓口へ相談してください。ここだけは、順番を絶対に間違えないでください。
🎓 2026年度の新制度:大学の授業料も対象に
働きながら大学・短大(通信制を含む)で学士号などを取得する場合、入学金と授業料の6割相当額(修学年数×上限40万円)が助成される制度が新設されました。
「大学に行き直したい」という夢を持っている方は、ぜひ窓口で確認してみてください。
学び直しは、いくつからでも始められます
③ 返さなくてよくなる貸付 ―― 入学準備金50万円
給付金とは別に、条件を満たせば返済が免除される貸付もあります。
💴 高等職業訓練促進資金貸付
- 入学準備金:50万円
- 就職準備金:20万円
- 返還免除の条件:修了から1年以内に資格を活かして就職し、その地域で5年間continuously働き続けること
※ 5年間働き続ければ、返さなくてよくなります。就職して働くつもりの方にとっては、実質的に「もらえるお金」です。
④ 生活費が足りないときの、公的な貸付
学んでいる間の生活が不安な方には、母子父子寡婦福祉資金貸付金という公的な貸付もあります。民間のローンとは条件がまったく違います。
| 資金の種類 | 限度額 | 利子 |
|---|---|---|
| 技能習得資金(親本人の学び) | 月額 68,000円(最長5年) | 無利子または年1.0% |
| 生活資金(技能習得期間中) | 月額 141,000円 | 無利子または年1.0% |
| 修学資金(子の大学・自宅外) | 月額 146,000円 | 常に無利子 |
| 就職支度資金 | 11万円(通勤用自動車が必要な場合34万円) | 常に無利子 |
※ 保証人を立てれば無利子、立てない場合も据置期間中は無利子で、その後は年1.0%です。子どもの修学・修業・就職支度に関する資金は常に無利子。出典:母子及び父子並びに寡婦福祉法施行令
⚠️ 消費者金融やカードローンの前に、必ずここへ
生活が苦しいとき、目に入りやすいのは民間のローンです。でも金利がまったく違います。
公的な貸付は無利子〜年1.0%。まずは自治体の窓口に相談してください。
「借金は嫌」という気持ちも分かりますが、子どもの修学資金は無利子です。使える制度を知らずに高い金利を払うほうが、ずっともったいないことです。
⑤ 相談はどこへ? ―― まずこの3か所
🏢 相談先と、進める順番
自治体の「ひとり親相談窓口」
子育て支援課など。ここが起点です。母子・父子自立支援員が、あなたの状況に合う制度を一緒に探してくれます。
母子・父子自立支援プログラムの策定を受ける
これが自立支援教育訓練給付金を受けるための要件になっています。給付金を希望するなら、必ず通る入口です。
ひとり親家庭等就業・自立支援センター
全国117か所。就業相談から講習会、就職情報の提供まで一貫して支援してくれます。在宅就業の支援やパソコンの貸与を行う自治体もあります。
マザーズハローワーク
全国23か所+コーナー183か所。子ども連れで相談でき、担当者制で継続的に支援してもらえます。オンライン相談も可能です。
どこも無料です。そして、あなたのような相談を毎日受けている場所です。遠慮する必要はまったくありません。
よくある質問
まとめ:学ぶことを、社会が支えてくれます
資格を取るというのは、時間もお金もかかる大きな決断です。だからこそ、その決断を支えるための制度が、これだけ手厚く用意されています。
月10万円の給付金。受講料の最大85%補助。返還免除のある貸付。無利子の生活資金。——これらは、誰かの善意ではなく、あなたが使うために作られた仕組みです。
「今さら」なんてことはありません。まずは、お住まいの自治体のひとり親相談窓口に電話をかけてみるところから。その一本の電話が、数年後のあなたと子どもの暮らしを変えるかもしれません。
📌 この記事のまとめ
- 高等職業訓練促進給付金:学ぶ間、月10万円(課税世帯70,500円)。最終年は+4万円、修了時5万円
- 対象資格は看護師・保育士・介護福祉士などに加え、IT・デジタル分野も
- 自立支援教育訓練給付金:受講料の60%(就職すれば最大85%)
- 入学準備金50万円・就職準備金20万円は、5年間働けば返還免除
- 受講の前に自治体の指定を受けること。順番を間違えると対象外に
- 相談は自治体のひとり親窓口・就業自立支援センター・マザーズハローワークへ。すべて無料
参考・出典
- こども家庭庁「高等職業訓練促進給付金のご案内」
- こども家庭庁「母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業について」
- こども家庭庁「ひとり親家庭等の支援について(令和8年4月)」「令和8年度予算の概要」
- 厚生労働省「マザーズハローワーク事業」
- 母子及び父子並びに寡婦福祉法施行令
- ※ 本記事は2026年8月10日時点の公式情報に基づいています。金額・要件・対象資格は自治体により運用が異なる場合があります。必ずお住まいの自治体の窓口でご確認ください。

