🏛 支援制度
離婚が決まったとき、まず考えるのが「どこに住むか」です。実家が頼れるなら、それはとてもありがたい選択肢です。家賃が浮いて、子どもを見てもらえて、ひとりで抱えなくてよくなる。
ただ、ここで知っておいてほしいことがあります。実家に戻ると、児童扶養手当が止まることがあるのです。
知らずに引っ越して、あとから「支給できません」と言われるのがいちばんつらい。この記事では、なぜ止まるのか、どういうときなら受け取れるのかを整理します。
実家暮らしでも申請はできます
まず前提として、実家に住んでいても児童扶養手当の申請はできます。「親と住んでいるからダメ」ということはありません。
問題になるのは、そのあとの所得の審査です。
👤 「扶養義務者」も審査されます
- 児童扶養手当は、受け取る本人の所得だけでなく同居している扶養義務者の所得も見る
- 扶養義務者にあたるのは、同居している直系血族(父母・祖父母・子)と兄弟姉妹
- 扶養義務者の所得が限度額を超えると、全部支給停止になる
※ 根拠:児童扶養手当法第10条。扶養義務者の定義は民法第877条第1項によります。
つまり、実家の父母や、同居している兄弟姉妹の収入が高いと、手当が止まるということです。

「一部支給」がないのが厳しいところ
本人の所得で判定されるときは、所得に応じて金額が少しずつ減る「一部支給」があります。ところが扶養義務者の所得による判定には、一部支給がありません。
| 誰の所得か | 限度額以下 | 限度額を超えたら |
|---|---|---|
| 本人(受け取る人) | 全部支給 | 一部支給 → さらに超えると停止 |
| 同居の扶養義務者 (父母・祖父母・兄弟姉妹) | 支給される | 全部支給停止(一部支給なし) |
※ 限度額は扶養している人数によって変わります。金額はお住まいの自治体の案内でご確認ください。
「少し超えたから少し減る」ではなく、超えたらゼロです。ここが実家暮らしでいちばん驚かれる点です。
「生計を同じくする」かどうかで決まります
ここが分かれ道です。扶養義務者の所得が見られるのは、その人と「生計を同じくしている」場合です。
原則として、同居していれば生計を同じくしていると判断されます。ただし例外があります。
🍀 生活を分けていると認められれば
同じ家に住んでいても、収入と支出を別にしている事実が確認できれば、扶養義務者の所得による制限を受けないことがあります。
- 公共料金の契約や支払いが別になっている
- 食事や生活費を分けている
- 職員が実際に訪問して確認する場合もある
ここで気をつけたいのが、住民票の世帯を分ける(世帯分離)だけでは足りないということです。書類上分けても、実際の生活が一体だと判断されれば、扶養義務者の所得は合算されます。逆に、生活が本当に分かれているなら、その事実を示す資料を用意して相談する価値があります。
⚠️ 実態と違う申告はしない
生活を分けていないのに分けていると申告すると、あとで返還を求められることがあります。判断に迷うときは、自分で結論を出さずに窓口で状況をそのまま説明してください。担当の方は、こういう相談に慣れています。
それでも実家が選択肢になる場合
手当が止まると聞くと、実家はやめたほうがいいのかと思ってしまいます。でも、そう単純でもありません。
家賃がかからないこと、子どもを見てもらえること、体調を崩したときに頼れること。これらを金額に置き換えると、手当を超えることもあります。手当の額だけで決めないほうがいい、というのが正直なところです。
また、実家の親が年金生活で所得が低ければ、同居していても手当は出ます。「同居だからもらえない」ではありません。まずは限度額と、親の所得を確認してみてください。
よくある質問
同居している兄や姉の収入も見られますか?
はい。同居している兄弟姉妹も扶養義務者にあたります。働いている兄弟と同居する場合は、その方の所得も審査の対象になります。
二世帯住宅で玄関が別なら大丈夫ですか?
建物の形だけでは決まりません。収入と支出が実際に分かれているかどうかで判断されます。公共料金の契約が別になっているかなどが手がかりになります。
実家の近くのアパートに住むのはどうですか?
同居していなければ扶養義務者の所得は見られません。頼りやすさを保ちながら手当も受けられるので、選択肢として検討する方は多いです。ただし家賃はかかります。
あとから実家に戻ったら、届け出は必要ですか?
必要です。住所や同居家族が変わったときは届け出が要ります。出さないままだと、あとで受け取った分の返還を求められることがあります。
手当が止まっても、他に使える支援はありますか?
児童手当は所得の考え方が違いますし、就学援助や医療費助成など、別の基準で判断される制度もあります。ひとつ止まっても他が使えることはあります。
まとめ:住む場所を決める前に窓口へ
実家に戻るかどうかは、お金だけの話ではありません。心の余裕も、子どもにとっての環境も関わります。
ただ、決める前に一度、役所のひとり親担当の窓口で聞いてみてください。「実家に戻ろうと思っているのですが、児童扶養手当はどうなりますか」と伝えれば、親の所得の目安も含めて教えてもらえます。
引っ越してからでは戻せません。順番を逆にしないことが、いちばんの備えになります。
※ 本記事は2026年8月時点の一般的な情報です。所得の限度額や判断の基準は自治体によって運用が異なります。実際の可否は、お住まいの市区町村のひとり親担当窓口にご確認ください。
🌿 次に読むなら、この記事
この記事とあわせて読むと、もっと分かりやすくなります。
- 児童扶養手当はいくら?2026年の金額・所得制限・振込日 手当の金額と所得制限の考え方を、基本から整理しています。
- 再婚すると児童扶養手当はどうなる?事実婚も注意 同居のほかに、再婚や事実婚でも手当の扱いが変わります。
- 母子家庭の家賃を下げる方法|家賃補助と公営住宅の条件 実家以外の選択肢として、家賃そのものを下げる制度を紹介しています。

