投資家にとって、長年投資のバイブルでもあり今現在もリアルに使われています、「会社四季報」。
創刊は1936年(昭和11年)、90年近くの歴史があり遡って当時の状況を見る事が出来ます。
全上場会社約4000社が載っており、年4回アップデートされる本は世界的に見ても珍しいものがあります。
アメリカやヨーロッパでは「会社四季報」に相当する一冊完結の全集はなく、基本はデータベースやオンライン情報。
企業の業績・配当・株主情報・会社コメント等がコンパクトに載っている情報の「厚み」と「網羅性」が魅力となる四季報の見方を読み解き、優良な銘柄を発掘していく学びを追ってみました。
四季報の魅力
編集部が来季予想を全銘柄独自で載せており、取材・分析をし「来期はこうなりそう」と出している数字があります。
(会社側はまだ発表していない未来の数字です)
この様に四季報は独自に「来期予想」を早めに提示するので、投資家にとって一足先に動ける要因となってきます。
特に小型株や成長株を探す時にこの予想が光り、上手に活用ができる幅が広がります。
銘柄選定の見方手順

出典:四季報より
主な構成を見ていきます。
業種(どんなビジネスをしているか)業績記事(その会社ならではの強みや特徴)
財務(売上高・利益の推移、自己資本比率や有利子負債、四半期ごとの数字)
株価指標(PER、PBR、配当利回り、ROE他)
株主・役員情報(大株主、持株比率) など
見出しランキング
増配・減配などの各銘柄のコメント欄に記載され、ランキングをしたもので市場全体の流れを見る事が出来ます。
一目で市場全体の状況を把握するのに役立ちます。
気になる企業
気になる企業のページ見ていきますが、それと共に同業種ページも確認する事により業態全体を把握していきます。これは相対的な評価をする事により、同業他社と比較すると利益率や自己資本比率、ROEなどが相対的に高いか低いかが分かります。

ROEとは:会社が株主から預かったお金をどれだけ効率よく増やしているかを示す指標で業種により平均値は違いますが、日本上場企業で 平均約 9 % 台となっています


出典:気になる銘柄を四季報より抜粋
コメント欄
業績や利益の見通しを読み解き、「増益期待」「慎重」「利益減少」など、来期の業績予想に関する編集部の考えが盛り込まれています。「主力商品が好調」「海外展開で拡大中」など、会社の競争優位性を知るとともにどの分野で利益を出しているのか、将来の成長材料は何かを把握する事が出来ます。
また、会社が公式発表していない将来の予測も含むことがあります。
業績欄
過去から今期予想・来季予想が記載されているため重要な数字であります。狙いたい数字は、増収(売上高が前の期より増えている)・増益(営業利益が前の期より増えている)が基本です。
簡単に言いますと、「会社が成長している」「経営が順調」であるかを見ていきます。過去数期連続して増収増益かチェックすることが大事になります。
財務状態
財務状態である自己資本比率の数字はとても大事。自己資本比率が高い会社は借金に依存せず、景気の変動にも強い指標となる数字は50%以上あれば安定的とみて、70%以上あれば財務状態が非常に健全と見ます。



財務状態の数字はとても重要な数字になります
営業キャッシュフロー
本業で生み出したお金の流れを見ることが出来、プラスであれば本業で現金を稼げていて、マイナスであれば資金繰りが苦しい可能性があると見る事が出来ます。
合わせて抑えたいポイントは、借金があるかの数字をチェック。有利子負債の数字が少ないとなれば借金に依存せず安定していると見る事ができ、ゼロであれば無借金である状態と確認が出来ます。
現金同等物の数字も見ていきたい点であり、数字が大きければすぐに現金化できる資産がある事を意味します。現金が豊富にあるという点も抑えておきたい点になります。



自己資本比率が高く有利子負債が少ない → 財務が非常に健全
配当利回り(インフレ時代は平均3%)
購入した株価に対して1年間どれだけ配当を受ける事が出来るかを示す数値。
日本株の目安は平均はおよそ 2%前後となっており、3〜4%台であれば比較的高めで魅力的であると見ます。



成長株 vs 安定株
成長株:配当利回りは低め(再投資に回す)
安定株:配当利回りは高め(利益を株主還元する)
チャートから読む
移動平均線(Moving Average, MA)の上に株価があり、右肩上がりのチャートであると望ましいです。
ローソク足は下落相場のあとに陽線が2〜3本続くとトレンド転換の兆しを示し、投資家の心理がグッと強気になっているサインです。
安値圏で陽線2〜3本あるとトレンド転換“上昇スタート”?と読み解き、高値圏で陽線2〜3本あるとトレンド転換じゃなく“最後の上昇”である可能性かもと見ていく事が出来ます。
株価指標
最後に押さえておきたい点は、PERの数字であります。利益に比べて株価が安い「割安株」であるかなどの指標で、同じ業種の平均PERと比べることが大事になってきます。
例えば食品株でPER10倍 → 割安
IT株でPER10倍 → 割安すぎて業績悪化の可能性も
まとめ:成長株はPERが高くても許容され、安定株はPERが低めが普通となってきます。
まとめ
全体的にネガティブになると投資心理では「みんなが売っている時が逆に買い時」と言われます。
ネガティブ材料が長期的に続き業績悪化に直結する場合は、株価はさらに下がる事がありますので「安いから買う」は状況を確認してからが鉄則になります。
また、実際に気になる企業のホームページを見たり代表の方の意見など読んでいくのも一つの指標になります。
株式を保有する事が出来たら、株主総会へ足を運んでみるのもいいヒントになります。
材料であるニュースと合わせて市場の状態を確認し、四季報からの情報も合わせ銘柄選びに役立てていきたいと思います。
